演題 「吉野家V字回復の軌跡~逆境の経営学とリーダーシップ」 講師 安部 修仁 (株)吉野家ホールディングス会長 講演会レジュメ 1.吉野家の原点(うまい・はやい・やすい)の誕生 2.挑戦と克服の歴史(10年ごとの挑戦) ①倒産と再建 ②価値の再設計 ③BSE(牛丼抜きで軌道にのせる) 3.ネオプレゼンス(存在感の復興) 4.世代交代(事業継承で大切なこと)吉野屋のDNA 講演内容要約 吉野屋創業の精神と原点(吉野家が「価値の3要素」としている)「うまい」「はやい」「やすい」の拘りと築地から始まったから生まれた「うまい」「はやい」のポイント 「うまい」 毎日でも食べられるように肉・タマネギの特質に拘り大鍋で煮る時に出てくるジュースにタレが相まって後味のティストが出てくる 「はやい」 店に入ったらすぐに(牛丼が)出てくる。サービスの一優先事項を「はやい」に据える。 ※築地の特性、江戸前の粋とせっかちに対応 総花的にあれこれやると優先性の高い項目の価値が損なわれる。なくてはならないものに集中して価値を際立たせる 倒産から再建までのエピソード 1980年7月、アメリカへの200店舗出店の構想など成長ドライブをかけている真っ最中の倒産。再建に向けて、 ●倒産後の初動はまず原点回帰。(今までの)全否定ではなく劣化したポイントを一つずつ解明→復元する ●質を高め赤字店を削減 ●粗製濫造のスキルの低い店長をリトレーニングでスキルアップ ●店長のスキルに足るバランスよい店舗数に →結果、倒産翌年から黒字、3年目に(会社更生の)弁済計画開始、5年間で100%収益弁済 BSE危機への対応 2003年クリスマスイブに発覚した米国BSE問題では牛丼休止は2年半に及ぶ。単品(牛丼)しかやっていない吉野家は大打撃、つぶれるのではないか?と周囲が心配する中で、 ●半年か1年あれば牛丼抜きでも外食の平均の売上利益は稼ぎ出す力を持っているという確信 ●重要なテーマほど長期レンジで判断し感情的に判断しない ●目標達成するための施策を3日、3週、3ヶ月でPDCAを高速展開。変化を能動的に受入、自分の役割と期限を全うさせる ●牛丼抜きでも1店舗500人来店と5%利益達成に向けて全員でがむしゃらに働く →結果、下期は黒字も2004年度は赤字。但し2004年度の下期以降は半期ごとを見ても売上利益は高まり、500人と5%は2年を経たあとで達成 などなど具体的なエピソードを交え、熱を帯びた語り口にはつい引き込まれました。その他にも、 ●成功の教訓より失敗の教訓は普遍的で成功の確率があがる ●仕事観:「無駄な経験はない」「ピンチは必ず克服」「挑戦こそが人を育てる」「自分で作り自分で面白くする」「55才からが勝負、そのために20代・30代・40代なりの生き方がある」 ●部下育成:「場を提供するが手出しはしない。するのは観察と評価」「若いうちに小さな成功と失敗を経験させる」など 多くの示唆に富む講演でした。時間が足らずとても残念でした。感謝 |